目の前に、海をテーマにした作品が一点あります。

構造は一見シンプル。白い紙コップの外側に、一回り大きな透明コップを重ねた二重構造です。中の紙コップには、三段に分けて絵が描かれています。

一番上の段は、鮮やかな青色。海面の色です。あえて塗りムラを残すことで、白い地の色が透けて見え、まるで海面に差し込む光のようです。

一番下の段も同じく青色ですが、こちらは海底の世界。黒い岩や、ゆらゆらと揺れる緑の水藻が描き込まれています。水藻の間を、赤と黒の縞模様をした小さな魚が悠々と泳ぎ、ここにも白い光が差し込んでいます。

さて、不思議なのは真ん中の段です。なぜかここだけ背景が白のまま残されており、そこを赤い魚の群れが泳いでいます。

コップを回すと、魚たちは終わりなき旅を続けているかのようです。

「なぜ海なのに、ここだけ白いのだろう?」

その謎は、透明コップを重ねた瞬間に解けました。透明コップの真ん中には、二匹の大きな魚が描かれていたのです。一匹は青い魚。体の三分の二を占める大きな頭に、欲張りそうな丸い目。大きく開けた口には、黒い歯がずらりと並んでいます。

もう一匹は真っ黒な魚。サイズこそ青い魚に譲りますが、どこか獰猛な雰囲気です。

透明コップを被せてくるくると回すと、素晴らしい光景が広がりました。二匹の大きな魚が、必死に逃げる赤い魚の群れを追いかけ始めたのです!

見ても見ても飽きないその仕掛けに、私はすっかり魅了されてしまいました。

作品を提出する際、保護者の方はこうおっしゃいました。

「学校で作ったのですが、『七田の先生に見せたい』と言って持ってきたんです」

作者は、小学2年生のK君。口数が少なく、とてもおとなしい男の子です。

「先生大好き!」なんて言葉を彼から聞いたことは一度もありません。ですが、K君はいつも彼なりの方法で愛情を伝えてくれます。

海の生き物が大好きなK君は、よく海をテーマにした絵や工作を見せてくれます。自分にとって一番大切なものを、大切な人にシェアする。それが彼の愛情表現なのでしょう。

K君、ありがとう。また素敵な作品を見せてくれるのを楽しみに待っています。

七田式新浦安,葛西,船橋駅前,津田沼,千葉駅前教室 りゅう先生より